Camera Lucida 日本製 12枚レンズ カメラルシダ 古典絵画 光学トレース器具 デッサン 美術史 顕微鏡 2024 模写 コピー器具科学器械 ヴィンテージ

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商品情報

此度は日本ではまったくと言って良いほど知られていない光学系描画器具カメラ・ルシダを出品します。精確な肖像画や厳密な透視図法に適う風景画、図版の複製、科学研究などに使う道具です。1960年ごろ製造。

多くの方がカメラ前史といえばカメラ・オブスクラと答えるかと思いますが、1806年に物理学者ウィリアム・ハイド・ウォラストン(太陽の黒点の発見など)によって発明され人気を博したカメラ・ルシダが、化学的な写真が登場する以前に存在していたことは、専門家以外にはほとんど知られていません。

2001年に「失われた絵画制作技術」が画家デイヴィッド・ホックニーによって紹介され(Secret Knowledge)、写実画家の仕事場には何かしらの光学装置の存在があったことが一貫して主張され、英米を中心ににわかに注目され、多くの批判/非難/論争が引き起こされましたが、それよりも前の1987年にカメラ・ルシダを徹底的に調査した英語文献が出版されています。「The CAMERA LUCIDA in art and science」(John H Hammond, Jill Austin)

今日ではアメリカのkickstarterをきっかけにシカゴのパブロ・ガルシアらによって作られたNeoLucidaやLucyが有名ですが、補助装置の無いプリズム式のため、反射像のズレ(運動視差)に注意が必要です。

(ロラン・バルトの「明るい部屋」の英題は「Camera Lucida」、仏語は「Le Chambre Claire」であり共に光学器具を仄めかしていますが、内容は写真の被写体などを巡る全き写真論であり、係る道具とは関係ありません)

カメラ・ルシダは目の前の光景を鉛筆などで正確に描画記録するためにプリズムをはじめ、二重反射装置のガラスなどで作られました。

写実的な新古典主義で最も名を馳せたドミニク・アングルもポートレートの下絵にカメラ・ルシダを使っていた時期があったと指摘されています。

また、コットマン水彩紙の由来となった画家コットマンもこの道具の愛用者でした。

肖像彫刻の設計図である素描にもこの道具が使われていました。

そのほかでカメラ・ルシダが重宝されたのは、軍事、植物学、地質学、考古学などの科学分野でした。(当初は絵画よりもこういった他の領域で活用されたようです)

本品は19世紀初期から続いた有名なBerville画材店による直角三角形プリズムにアルミメッキを施し12枚の光学補正レンズが付属した、エレベーター機能付き伸縮棒を備えた革新モデルの後継/最終モデルです。

真鍮にニッケルメッキ。

旧品は現在の価格に換算すると、21万円にもなります。実際、現代でも高品質レンズ一枚やプリズムをひとつ作るだけで数万円かかるので、高額だったのも当然です。廉価版は10万円。

本品はドローイング記録を必要とするあらゆる職種に対応できるハイエンドモデルであり、性能が保証され、製造会社の変遷やマイナーチェンジを経ながらも、およそ100年間に及ぶ製造販売実績を誇りました。

無限遠の風景画から、肖像彫刻用の正確なスケッチ、地質学的記録、考古学的記録、植物標本製作、人物肖像画制作、静物デッサン、さらに微細な物体の拡大描画など顕微鏡映像のスケッチなどのようなことも可能です。

ですので、必ず全てのユーザーのニーズの期待に十分に応える製品です。

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カメラ・ルシダ(仏名Chambre Claire)は19世紀末にパリのバービル画材店によって完成形が販売されました。これを前後して、実に多様な改良案が実用化されましたが、主に3種類の方式が最も実用的であったようです。

バービル画材店のカメラ・ルシダの光学系はウォラストン・プリズムとは違う直角プリズムに鏡面アルミメッキを施したもので、12枚のレンズ(凹レンズ・凸レンズ各6枚のパワーの異なる光学補正レンズ)で焦点距離を微調整できるものです。

これは「Chambre Claire Universelle」という名で売られ、のち1930年ごろからはアメリカの企業で販売されました。

さらに歴史的には、第二次世界大戦後の1956年にニューヨークの会社から「Chambre Claire Universelle」の後継品製造依頼を受けて日本のホルベイン工業によって国内特許が取られ、「LEON CAMERA LUCIDA」「HOLBEIN CAMERA LUCIDA」という呼称で「完全輸出用」に作られていましたが、1980年ごろにその幕を下ろしました。

そのため日本国内では市場に一切出回らず、日本人でこれを知っていたのはごく一部の者だけだったようです。

さて、W.H.ウォラストンによって設計された方式のカメラ・ルシダは、当時のロンドンのDollond, Cary, Newmanが最初のメーカーとして指定されていました。
その後、イングランドおよびパリで多くの類似品や改良品が作られています。

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本品はカメラ・ルシダにつきものの反射像と手描きイメージのズレ(Parallax)を、12枚もの精巧なレンズによって抑えることに成功し、これ以上ないほど安定した使い勝手を実現しています。※

※本品の12枚レンズには数字の刻みが不明瞭、または一部施されておらず、度数については以前の所有者によるメモを参照できますが、その正誤は光学的検査装置によらなければ不明のままです。筐体やプリズムにも製造時の歪みが認められ、そのため若干価格を下げております。しかし機能そのものはまったく問題なく、むしろ旧品よりも度数の幅が広く、さまざまなシーンで活用いただけます。

使い方は、プリズムエッジを真上から覗き込み、手元の画用紙上に前方の風景や静物、人物などの被写体がうっすらと投影されるように視えるため、この輪郭を写しとるというものです。

日本においては、例えば写真美術館やいくつかのミュージアムでそれぞれ1~数点ほど収蔵してはいるようですが、お目にかかる機会はなかなかありません。

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私 Ayame Kinjo は、現代のカメラ・ルシダであるNeoLucida, NeoLucidaXLの製作者であるアメリカはシカゴ美術館附属美術大学のPablo Garcia凖教授と共同で、カメラ・ルシダを中心に過去の失われたドローイング・デバイスを調査しており、30個を超える様々なバリアントのカメラ・ルシダを比較研究してきました。

私の専門は主に1800年代初期から20世紀半ばまでの製図器具/描画器械/古典コンピュータです。

本品は日本で数少ない、または他に存在しない、カメラ・ルシダ研究者である私が自信を持ってお勧めできる逸品です!

現在、私は日本の小さな美術教育事業組織「デッサンラボラトリー」で伎術研究員・スーパーバイザーを勤めておりますが、研究費が乏しいため、このように蒐集物の整理を兼ねて、アンティーク/ヴィンテージのドローイング/古典コンピュータデバイス専門ディーラーとして、一部販売にかけております。

―(2023年 2月 17日 17時 24分 追加)画像9-10は私が製作した研究用ビデオからキャプチャされたものです。(2023年 2月 17日 18時 17分 追加)訂正

誤: ニッケルメッキ
正: おそらく“クロームメッキ”

金属器具に関して、19世紀は真鍮や鋼鉄、ジャーマンシルバー(ニッケル合金)が多く、20世紀中頃までは真鍮/鋼鉄にニッケルメッキが多く、それ以後は真鍮/鋼鉄にクロームメッキという傾向がありました。

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